HOME > 理事長 創立70周年ご挨拶

谷口 芙美子イメージ

学校法人大川学園理事長

谷口 芙美子

 この度、学校法人 大川学園は平成27年10月15日をもって、創立70周年を迎える運びとなりました。これもひとえに、本学園にご支援を頂いている生徒、学生、教職員、保護者の皆様、地域の皆様、関係者の方々のご尽力の賜物であることを実感いたしております。誠にありがとうございます。
 本学園の始まりは昭和20年、飯能の地に女子教育の振興を目的として「飯能ドレスメーカー女学院」の設立に至ります。戦後まもなくの創設は、当然のことながら男女雇用機会均等法の制度化以前でもあったため、まだ世の『女性』に対する偏見も根強く残っていた時代でした。本学園創設者で初代学校長 大川愛子は、これからは女性もより社会で躍進していかなければならない時代に来ていることを敏感に感じ取り、いち早く手に職をつける職業実践型の教育を打ち出していきました。そして時代は変遷を遂げ、日本が高齢化社会から高齢社会に突入した平成8年には、福祉教育に関する学科を本学園に新たに設置するなど、これからの日本を支えていく福祉の人材育成に力を入れていく方向性を固めました。急がれる国の福祉施策に並行し、本学園としても1つの転換期を迎えることになります。さらに近い将来、医療と福祉の連携が喫緊の課題となることを鑑み、平成15年から平成17年にかけて、県内私学唯一の福祉科をもつ大川学園高等学校を設置したほか、現在の学園本部となる飯能市下加治に、柔道整復学科、鍼灸学科を新設した大川学園医療福祉専門学校を開校するなど、大きな組織改革を行い、現在の本学園の礎が築かれました。そして今、2025年問題に向けて地域包括ケアシステムの構築という、医療と福祉が一体となって住み慣れた地域で高齢者を支援していくという時代を迎えています。
 このような時代の流れと共に、本学園もその時代背景に即した実践教育を行い、社会で活躍できる多くの 卒業生を送り出して参りました。
 本学園の中でも創立当初からの揺るがない教育方針は、校訓「自律・協調・奉仕」の中で特に「奉仕」のこころをもつことの大切さを生徒・学生に伝えていくことでした。
 学校教育の中では、赤い羽根共同募金活動等、実際の体験を通して習得させること、また理事長自らが奉仕活動を行うという実践を通して、生徒・学生に伝えていきました。そして初代理事長と共に創立当初から本学園の教育の現場に携わり続けた現本学園評議員 大川俊子が掲げた教育方針は「どんな者も必ず問題を抱えながら生きている。しかし誰もが尊く価値ある存在であり、いかなる状況にあろうとも、平等に教育を受けさせ、一人として社会から排除されてはならない。どんなに悪いとみられてしまう子であっても、必ずよいところがある。そこを伸ばしてあげることが私達の役目である。」というものでした。この、個々人に合わせた教育方針の確立の背景には、今日に至るまでの教員と生徒一人ひとりとの出会いによって、大川学園の教育の核となるものが創られてきた歴史があることを実感しています。そして今後も多くの生徒・学生、教職員と共に創られ、継承・発展されていくものでもあります。
 不透明な時代背景から汲み取れるように、今後はより社会における課題も山積していくことが予測されます。その中でまずは、個人のレベルの観点から自らが進んで考察し、いかにして介入していくことができるのかが問われてきます。自分自身の直接的な利害関係に関わらず、他者の問題を自分の問題として捉えて行動をしていくことのできる、温かみのある人間教育を継続的に行っていくことが必要であります。そして本学園にご入学をされたすべての生徒、学生の皆様にとって、自己と他者を尊重し合いながら共存していく力を是非、本学園の伝統ある教育を通して次世代に学び継がれていくことを切に願います。
 結びに、今日に至るまで、学校法人 大川学園に携わってこられたすべての皆様に改めて感謝を申し上げます と共に、引き続き変わらぬご支援、ご協力を賜りますよう心よりお願い申し上げ、70周年の挨拶といたします。