学校法人 大川学園

大川学園は、1945年の終戦直後、まだ多くの女性が学びや社会参加の機会を十分に得られなかった時代に、女性の「自分たちも学びたい」という切実な声に応えるかたちで、飯能ドレスメーカー女学院として創立されました。その根底にあったのは、教育を通して全ての人が自身の可能性を拓き、社会における役割を主体的に形成していけるように支援したいという精神です。
一人ひとりが「学ぶこと」で自らの可能性を信じ、社会のなかで自身の役割を見出していくこと。私たちはこれを「学びによるエンパワーメント」だと捉えています。
そして、これこそが本学園の伝統に基づく「教育の原点」でもあります。
私が理事長に就任するにあたり自らの使命として掲げたのは、この原点を現代に引き継ぎ、教育を通して「誰一人取り残さず、社会とつながる学びの場」を実現することです。本学園の教育の基礎である「心と体を整える学び」「学ぶ力を伸ばす学び」「未来を創る学び」には、創立より受け継がれてきたこの「原点」が、今も変わることなく息づいています。
心と体を整える学び
自身の情緒や身体の変化に気づき、無理のない方法で立て直していく力を身に付けます。
学ぶ力を伸ばす学び
急速な変化が続く社会では、自分の興味関心や課題に合わせて、学びを「更新し続ける力」が必要とされます。
未来を創る学び
価値観や背景の異なる人々と対話し、お互いの考えを尊重しながら、可能な範囲で力を合わせていく力を自分のものにします。
現代は、社会の変化がかつてないほど速く、先を見通すことが難しい時代です。こうした環境の中で求められるのは、特別に強い人や、いつも前向きでいられる人だけではありません。大切なのは、それぞれの人が自分のペースで学びを積み重ね、周囲と関わりながら生きていくための「確かな土台」を持っていることです。私は、それを整えることが教育の役割だと思っています。
単に知識や技術を身につけるだけでなく、生徒一人ひとりが自分に合った歩幅で成長し、自ら選んだ未来へ向けて進んでいけるよう支えること。そして、それぞれの生徒が自分の強みや興味を生かしながら、自らの人生を主体的にデザインし、社会のなかでその力を発揮できるように――。
全職員が共通の意識をもって生徒たちと向き合い、その可能性をより確かな形で広げていける学校であることを目指しています。

大川学園には、高等学校・専門学校ともに国内外から多様なバックグラウンドをもった生徒たちが入学します。それぞれ歩んできた人生が違うのですから、性格や得意・不得意、歩むペースも当然のように異なるものです。前向きに挑戦できる時期もあれば、立ち止まりたくなる時期もあるでしょう。そのどちらも尊重し、どのような状態にある生徒にも「ここに居場所がある」と感じてもらえる環境をつくることが、教育機関が果たすべき大切な役割の一つだと考えています。
大切なのは、誰かと比べるのではなく、昨日の自分よりほんの少しでも「前に進めた」と思えることです。
私たちは「変わること」を強いるのではなく、生徒が「変わりたい」と思ったときに、安心してその一歩を踏み出せる場所でありたいと思っています。誰にでも居場所があり、誰もが自分らしく学び、その人だけの未来へ向かうことができる学校であること。それこそが私たちの目指す未来であり、最も大切にしている基本理念でもあります。

大川学園は、80年におよぶ歴史のなかで、常に時代の流れに合わせて挑戦と進化を続けてきました。そして、まさに今も大きな変革に向かって行こうとしています。新たに国際教育を取り入れ、生徒たちの可能性を最大限に高められる環境づくりに注力しているところです。
だからといって、創立以来掲げてきた 「自律・協調・奉仕」 の精神は、時代が変わっても揺らぐことはありません。私は「伝統を守る」とは、過去の形をそのまま残すことではなく、大切にすべき価値を軸に据えつつ、その価値を今の生徒たちにとって最適な形へと再構築していくことだと捉えています。
私たちが目指しているのは「新しさのための改革」ではなく、本学園の理念と整合する「意味のある進化」を実現することです。
創立以来受け継がれてきた精神を次の時代へ確かな形で受け継いでいくために、伝統と革新のバランスを丁寧に見極めながら、本学園の価値をさらに高める取り組みを着実に進めていきたいと考えています。

私は、生徒にも教職員にも、今の大川学園が大切にしている姿勢を共有したいと思っています。それは「互いを尊重し、安心して学び・働ける環境を、皆でつくっていくこと」 です。
生徒の皆さんには、自分の得意や興味を活かしながら、自分のペースで学び、自分らしい未来を描いてほしいと願っています。思うようにいかない日があっても構いませんし、迷うことがあっても大丈夫です。学校は、みなさんの成長を支えるためにあります。自分の力を信じ、周りの仲間や教職員を頼りながら、一歩ずつ前へ進んでください。
教職員の皆さんには、共に教育の質を高めながら、温かみのある「支える教育」 を実践していただきたいと考えています。生徒の状態に目を配り、必要な支えを丁寧に届ける姿勢こそ、どの時代においても変わらない教育の本質です。
そして、生徒も教職員も含めた大川学園の全ての人に伝えたいことがあります。それは、「違いを認め合い、お互いの力を生かし合うことで、学校はもっと強く、もっと温かい場所になる」ということです。
これからも大川学園は、「誰一人取り残さず、社会とつながる学びの場」を目指して、安心して挑戦できる環境づくりを進めていきます。皆さんと共に、この学校の未来を築いていけることを心から楽しみにしています。